「幼き子父に一枚長閑かな」 最寄り駅近くの自動販売機。 4,5歳の男児とその父が自動販売機の前で 飲み物を買うべく奮闘している。 いや、奮闘しているの男児であり、そのサポートを父が行っているのだ。 一枚一枚小銭を渡す姿を横目に私は駅に向かっていく…
「就活で初訪れの秋葉原東京感じ見上げる空よ」 『秋葉原』を就活で初めて訪れた。 テレビでみた地に朝早く到着したが、やはりゲームセンター?かショップの前に長蛇の列を横目に通り過ぎる。 何処をみても圧迫感を感じ、開放感を求め空を見上げた。 けれど…
「午後三時バナナ片手の花曇」 午前中のWEB面接を終え、一息付けようと スタバの新作を購入した。 バナナシェイクとはまた違う美味しさがあり リピートしてしまいそうだ。 持ち帰りのため、少し寒さを覚えながら帰路につく。
「ワークチャア二人組み立て推奨し壁と団結静かな部屋よ」 先日購入した念願のワークチャアが今日届いた。 組み立て式であることは覚悟していたが まさかの二人での組み立てを進める絵が記載されていた。 とはいえ、一人暮らし&頼れる人もいないので 腹を決…
「大試験花咲く姿下る坂」 大試験。 私にとって数カ月前までは大学の試験、レポート課題だった。 そして計6回、毎回楽しみにしていたが 今現在は就職活動全般に変わった。 あれだけ楽しみにしていた成績開示日であったのに 今期だけは気づいたら成績が出てい…
「代々木たつ一時間前到着す刺さる寒さとひたすら歩く」 初めて降り立つ駅で、到着1時間前についてしまった。 30分でも迷ってしまったら、、、という不安があり、結果一時間前。 企業の道順の下見を終え、ただひたすらにまっすぐに歩き続けた。 最近は寒さも…
「春雨や朝夜傘差しピンク空」 バイトのためにいつもより早めに起きた朝は雨が降っていた。 そして夜も雨。 久しぶりの雨が一日中降っていた。 傘をさす。 ピンクの雨が降る。
「母からの桜のおはぎ送られてスマホからくる春分の夜」 母から桜のおはぎの写真が送られてきた。 春分だとか、気にしてはいなかったが ふとした母からのラインで暦に意識を向けた。
「画面越し初桜みてまだ見れず」 朝、桜の開花情報がテレビに流れている。 連日もやっていたそうだが、就活に終われていてテレビも、 ましては外に実際に桜をみにいく機会はない。 そして就職先という私の桜はまだまだ開花することなく、枯れていく。
「これからの人生悩み泣きながら父と食べるは麺ありが豚」 午前中に地元企業の対面面接。 現実と理想、やりたいことと限界を まだ若いながらに痛感した。 これが世間知らずということなのだろうか。 これからの人生にとめどない不安を抱き、 思わず父との会…
「旧友の生誕祝い山笑ふ」 久しぶりにあった友人に、サプライズバースデイパーティーを行った。 合うだけで特別な時間であるのに、さらに特別になった。 本当に楽しい時間だった。 来年もまたお祝いしたい。
「肉じゃがに天丼合わせ食べ過ぎに重たい身体幸せの味」 実家に戻るとついつい食べ過ぎる。 いつもの3倍は優に食べる。 祖母がつくる肉じゃがは白っぽい。 けれどそれが実家の味。 天丼も少し前までは食べれたのが 一人暮らしのため小さくなった胃には満腹で…
「オンライン固まる画面泣く雪崩」 Web面接。私のパソコンはzoomとの相性は良いのだが なぜかそれ以外のオンライン会議とは最悪だ。 だからzoom以外を指定されたときは、覚悟をする。 調子がよいかわるいか。 パソコンのスペックかWi-Fiが原因なのか アナロ…
「贅沢し一人乗り込むグリーン車今は特別だが日常へ」 グリーン車は小さな贅沢だ。 いや私にとっては大きな贅沢であり、これが小さな贅沢となり、 そして日常となる生活をしたい。
「龍天に昇る鼓動に犬怯え」 【龍天に昇る】とは春分の頃に天に昇って龍が雨を降らせることをいうらしい。 この季語を見た際、まさしく今日の事を指しているように思えた。 雄叫びのような雷が二発。 祖母の家で飼っている中型犬は、犬小屋に入ってうずくま…
「質問すスタンドマイク未来向け震える足と揺るがぬ心」 大勢の前に立ち、スタンドマイクで発言するなんていつぶりだろう。 そして将来を夢見て就職活動において 緊張と恐怖とそして未来への高揚感とともに心が震えた。 そして「軸」は崩れない。 人事を尽く…
「庭着きてぽってり赤い椿咲く」 実家に帰省し、丁度車を降りた際 赤い椿をみた。 まるで私を歓迎してくれているかのようである。
「カラスいるゆっくり歩く老夫婦つられて眺め孫と祖父母に」 「カラスいる」と前方からの老夫婦の会話が聞こえてきた。 私もその声につられて視線を向ける。 やはり若者の足の歩幅はゆっくりとはいえど大きいもので、 その老夫婦と横並びになってしまった。 …
「はしゃぎ声視界流れる石鹸玉」 最寄り駅付近に小さな公園がある。 ふわりと横切るのは久しぶりにみた石鹸玉だった。 流れる虹色にきらきら光る石鹸玉に目を奪われた。 そして反対側から可愛らしい声が聞こえた。 お母さんが石鹸玉を吹き、幼い男の子がぱち…
「走り込む四半世紀の繋がりを手に汗握る終始の涙」 大学に書類をもらいに行ったり、アルバイトの予定が既にあった今日。 どうしてもどうしても『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が見たくて ギリギリ見れる時間帯がある1つを目指し、私はヒールで走った。 …
「花粉症見渡すマスク皆(みな)同志」 梅や桜が咲く春は好きだ。 けれどこの季節は花粉症を避けては通れない。 毎年の筆頭花粉症対策としてマスクを着用していて、 どこかマスクをしている人をみると仲間意識を抱いていた。 けれど今年は見渡す限りマスクで…
「差し迫る消費期限の豚肉を焼き茹で茹でと一人の苦悩」 普段は、朝なし、昼夜カップ麺、もしくはスーパーのお弁当。 だがやはり飽きはくるもので、一昨日自炊しようと豚肉を購入。 一人暮らし用だと割高に感じたためファミリーサイズの豚小間肉を購入した。…
「春光やベールに包む夢見つめ」 暖かな春の日差しが、オフホワイトの薄いカーテンに包まれる。 そのどこか神秘的で上品な光。 実家の薄いカーテンに包まり、 ウエディングベールに見立てて憧れていたことを思い出した。 将来の夢は「お嫁さん」なんて、今で…
「あたたかや机に向かい履歴書の手首の痛み見守る子ぶた」 春になりすっかり昼間は暖房をつけなくなった。 ずっと室内にいるとそういった気温の変化でしか季節を感じることができないが、 それでも私は、締め切りが迫る目の前の履歴書を、引きこもって書かな…
「二十一ひとり寂しく雛あられ」 淡い可愛らしい色と和の装飾で女の子の健康を願うひな祭り。 ついこの間までは私も女の子であった。 ちらし寿司にハマグリのお吸い物。 そしてかわいい雛あられ。 けれどついにハタチを過ぎ去り21歳となった今は女の子とはい…
「春眠の綿の毛布の心地よさいつの目覚まし聞えぬ音よ」 朝活を使用といつもより早めに目覚まし時計をセットした。 けれど綿毛布の温もりが心地良すぎて、二度寝三度寝という意識もなく 気付いたら昼すぎになっていた。 こんなにも目覚ましの無力さを感じた…
「ベランダで鯛焼き眺め春の宵」 3月にいよいよ突入した。 夕方になっても凍える寒さは訪れなかった。 一気に春になった実感を抱いた。 先程買った鯛焼き二つをもってベランダへ。 大きな空に鯛焼きを泳がせてみた。
「鳩尾の痛み起こされ朝四時の弱る身体の大人の歩み」 朝四時、まだ外は暗い。 ふと目が覚めた瞬間、みぞおちの痛みを感じ、トイレに駆け込んだ。 それを一時間繰り返した。 幼い頃は、胃が痛くなるなんて考えられなかった。 これも大人になったということな…
「駆込みて足が絡まる春炬燵」 畳の上に置かれる大きな長方形の炬燵は、実家に帰ってきたという実感を加速させる。 けれど大きな炬燵はすぐに埋まってしまう。 数年前までは絡まなかった足も、ぶつかる少しの痛みと共に成長を感じられた。 そこに兄が帰宅す…
「曇り空一本道を山にきく溺れる白紙祖母の優しさ」 地元の企業の筆記試験。 空が曇ってる様子は晴れない自分の心を表しているようだった。 長い一本道を祖母の車の助手席で先の山を眺める。 なぜか山は高々と連なっている姿がはっきりと見ることができた。 …